建築一式工事

建築一式工事とは

一つの建物を建設するには、基礎工事、躯体工事、電気設備工事、内装仕上工事、外溝工事・・・などの、複数の専門工事業者さんが協力して行うことが必要です。

建設業法では、それら色々な工事を、専門業種として27種類に分類し、この専門業者さんたちを束ねる監督の業務を行うことを建築一式工事業と定めています。

たとえば、
工務店が工事を請け負った場合、大工さんは自社の従業員であっても、左官や内装工事の職人さんが自社には在籍していない場合、

左官や内装工事の仕事については、施工計画を作成し、その計画に従い、外部の専門業者さんに施工してもらうことになります。

このように、(元請の立場で)下請の専門工事業者さんを束ねて(マネジメントして)工事を行う場合に、建築一式工事業の許可が必要になります。

よく誤解されているケースがみられるのですが、建築一式工事業の許可は,大工工事左官工事、内装仕上工事などの建物の建設に携る専門工事がどれでも全てできる許可という意味ではありません。

あくまでも、
専門の工事をする業者を束ねる(マネジメントする)仕事ができる許可ということなので、個人住宅を全部請け負う場合は、建築一式工事の許可があれば、請け負うことができますが、工事1件の請負金額が500万円以上の大工工事左官工事、内装仕上工事などの部分的な専門工事のみを請け負う場合は、建築一式工事の許可では対応できず、別途、大工工事業や左官工事業の許可が必要となります。

また、
建設工事の請負の一貫として建築物の設計や工事監理等の業務を行う場合、建築士事務所登録も必要となることにも注意が必要です。

建築一式工事の具体例

●住宅建築工事
●集合・共同住宅(マンション)建築工事
●工場建築工事
●店舗建築工事


建築一式工事業の専任技術者の要件

一般建設業の場合

法第7条第2号イ該当

●建設業法施行規則第1条 

建築一式工事業に係る建設工事に関し、学校教育法による高等学校もしくは中等教育学校を卒業した後、5年以上、または、大学もしくは高等専門学校を卒業した後、3年以上実務の経験を有する者で、在学中に以下の指定学科(建築学又は都市工学に関する学科)を修めた者。

建築一式工事業に係る建設工事に関し、学校教育法による専門学校の専門課程を卒業した後、5年以上、実務の経験を有する者で、在学中に以下の指定学科(建築学又は都市工学に関する学科)を修めた者。または、3年以上実務の経験を有する者で、在学中に以下の指定学科(建築学又は都市工学に関する学科)を修めた者のうち専門士または高度専門士を称する者。

法第7条第2号ロ該当

建築一式工事業に係る建設工事に関し、10年以上の実務の経験を有する者。

法第7条第2号ハ該当

●建設業法施行規則第7条の3第2号

①建設業法による技術検定のうち検定種目を1級の建築施工管理、または、2級の建築施工管理(種別を「建築」とするものに限る。)とするものに合格した者 。

②建築士法による1級建築士、または、2級建築士の免許を受けた者。

特定建設業の場合

法第15条第2号イ該当

●S63.6.6 建設省告示第1317号

①建設業法による技術検定のうち検定種目を1級の建築施工管理とするものに合格した者。

②建築士法による1級建築士の免許を受けた者。

法第15条第2号ロ該当

●「指定建設業」
土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業及び造園工事業については該当者はありません。

法第15条第2号ハ該当

●平成元年1.30 建設省告示第128号 

国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者。

次の(1)から(3)のすべてに該当する者で国土交通大臣が建設業法第15条第2号イに掲げる者と同等以上の能力を有すると認める者

(1) 建設業法の一部を改正する法律
(昭和六十二年法律第六十九号。以下「法」という。)の施行の際に、特定建設業の許可を受けて、当該建設業を営んでいた者の専任技術者(建設業法第十五条第二号の規定により営業所ごとに置くべき専任の者をいう。)として当該建設業(建築一式工事業)に関し、その営業所に置かれていた者、又は、法施行前一年間に当該建設業(建築一式工事業)に係る建設工事に関し、監理技術者として置かれていた経験のある者であること。

(2) 当該建設業(建築一式工事業)に係る昭和63年度、平成元年度又は平成2年度の一級技術検定を受検した者であること。

(3) 財団法人建設業振興基金の行う平成元年度又は平成2年度の建築技術者特別認定講習の効果評定に合格した者であること。

建築一式工事の実務経験について

建築一式の定義は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」ですので、実務経験は「元請」としての経験しか認められません。

建築一式工事は、原則として建築確認を必要とする新築・増改築のことを指します。基礎工事から行っていない増築工事や原状回復を目的とした改修(修繕)工事は、建築一式工事でなく大工工事とみなされます。

静岡県において、建築一式工事業の許可の申請をする場合、必要な実務経験年数を証明するために、「(建築)確認済証」又は「検査済証」の交付証明書と、以下のいずれかの書類の原本提示が求められます。

  • 「契約書」
  • 「注文書及び請書の控えのセット」
  • 「請求書及び入金の分る通帳又は預金取引明細書のセット」

建築一式工事に限らず、静岡県で、建設業許可取得や建設業の許可業種の追加を、お考えの方は日ごろから、契約書類などを整備し、大切に保管しておきましょう。