労働契約について

労働契約は労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して
賃金を支払うことを合意することによって成立します。(労働契約法第6条)

労働契約と就業規則との関係

労働者と使用者が労働契約を締結する際に、
使用者が合理的な労働条件が定められている、就業規則を労働者に周知させていた場合は、
労働契約の内容は、就業規則で定める労働条件となります。
(労働契約法第7条本文)。

一方、労働契約において、
労働者と使用者が就業規則の内容とは異なる労働条件で合意していた部分については、
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約である場合を除き
労働契約の内容は、(就業規則で定める条件に対して労)働契約が優先されます。
(労働契約法第7条但書)。

但し、
労働契約のうち就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める部分については無効となり、
この無効となった部分については就業規則で定める基準による労働条件となります。
(労働契約法第12条)。

つまり、就業規則よりも労働者に不利な労働契約による労働基準は無効となりますが
有利な労働基準であれば無効とならないことになります。(有利原則)

従業員を雇用し、労働契約を締結する際に、賃金等一定の労働条件については、
必ず労働者に明示する必要があります。
さらに、賃金及び労働時間等一定の事項に関しては書面を交付する事によって
明示しなければなりません。

労働契約と労働協約との関係

労働協約とは、
労働組合と使用者またはその団体と結ばれた労働条件などに関する取り決めのうち
労働組合法に則って締結されたものをいいます。

労働協約は、原則として、締結労働組合の組合員に対してのみ効力を生じ、
それらの組合員以外の労働者には効力を生じないこととされています。

但し、一の事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が
一の労働協約の適用を受けるに至った時は、
当該事業場に使用される同種の労働者に関しても当該労働協約が適用されます。

労働協約の労働者の待遇に関する基準についての条項(規範的部分)に違反する
労働契約で定める労働条件は無効となり、
この無効となった部分は労働協約に定める基準によることとされています。
労働契約に定めがない部分については、労働協約に定める基準によることとなります。
(労働組合法第16条)

労働条件の明示

絶対的明示事項

労働契約を締結する際には、
以下の労働条件について必ず労働者に明示しなければなりません。
この、必ず明示しなければならない事項を「絶対的明示事項」と言います。

1 労働契約の期間

2 就業の場所及び従事する業務内容

3 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働(残業や休日労働です)の有無、
  休憩時間、休日、休暇等に関する事項

4 賃金(退職金、賞与等は除く)の決定、計算及び支払い方法、
  賃金の締切り及び支払いの時期、昇給に関する事項

5 退職に関する事項

これらの、絶対的明示事項のうち、4の「昇給に関する事項」以外は、
書面交付によって労働者に明示する必要があります。

相対的明示事項

絶対的明示事項)以外にも
労働契約の締結の際に「定めがある場合には」明示しなければならない事項があり
これを「相対的明示事項」と言います。

相対的明示事項の主なものとして、以下の事項があります。

1 退職手当に関する事項(適用範囲、計算方法、支払い時期等)
2 賞与及びこれに準ずる賃金並びに最低賃金に関する事項
3 安全及び衛生に関する事項
4 表彰及び制裁に関する事項
5 休職に関する事項   等

これらの事項は定めがあれば明示する必要があり、定めが無い場合は明示する必要はありません。

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