厚生年金保険

〇厚生年金保険の目的

厚生年金保険は、労働者の老齢、障害 又は 死亡について、保険給付を行い、
労働者 及び、その遺族の 生活の安定と福祉の向上に寄与することを 目的としています。

〇厚生年金保険の給付

①老齢厚生年金

老齢厚生年金には「(通常の)老齢厚生年金」と、「(特別支給の)老齢厚生年金」があり、
どちらも、一定の要件に該当する場合には、「扶養手当」に該当する「加給年金」が加算されます。

イ.(通常の)老齢厚生年金(65歳から支給)

厚生年金保険の被保険者だった者が、
国民年金の老齢基礎年金の受給権を得たときに(65歳から)支給されます。
(通常の)老齢厚生年金の額 = 報酬比例部分の額 + 加給年金の額

ロ.(特別支給の)老齢厚生年金(60歳台前半に支給)

次の要件を満たす場合、(60歳から65歳までの間に)特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
・男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
・女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
・老齢基礎年金の受給資格期間(国民年金の保険料納付済期間が)10年以上があること。
・厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
・60歳以上であること。
(特別支給の)老齢厚生年金の額 = 報酬比例部分の額( + 定額部分の額 + 加給年金の額 )

ハ.加給年金

厚生年金の被保険者期間が20年以上(中高齢者の特例に該当する場合は 15~19年以上)ある者が
(通常の)老齢厚生年金の受給権を得た当時
(又は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢到達時)
その者によって生計を維持している

・「65歳未満の配偶者」、( ← 年齢は問うが、子との生計同一は問わない )
・「18歳到達年度の末日までの子
 (障害等級の1級 又は 2級の障害がある場合は20歳未満の子)」がいる場合、
  老齢厚生年金に加給年金が加算されます。

②障害厚生年金・障害手当金

厚生年金の被保険者期間中に初診日のある傷病で、
初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日(又は 1年6ヶ月経過前に治った日、症状が固定化した日)に障害等級1級~3級の障害の状態にある場合に支給されます。

③遺族厚生年金

次の要件の いずれかに該当する場合、
厚生年金保険の 被保険者又は被保険者であった者の遺族(配偶者、子、父母、孫 又は 祖父母)に
遺族厚生年金が支給されます。
・厚生年金の被保険者期間中に死亡したとき
・被保険者期間中に初診日のある傷病がもとで初診日から5年以内に死亡したとき
・障害等級1級 又は 2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
・保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間が25年以上(10年でない)である
 老齢厚生年金の受給権者が死亡したとき

④脱退一時金

6ヶ月以上の厚生年金保険の被保険者期間のある外国人が、厚生年金保険の給付を受けずに
自国へ帰国した場合、帰国後2年以内に請求したとき、脱退一時金が支給されます。

〇厚生年金保険に加入しなければならない強制適用事業所

①国、地方公共団体 又は 法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの。

②個人経営の事業所で、常時5人以上の従業員を使用する法定16業種に該当するもの
 (事業主本人は常時使用する5人の従業員としてカウントしません)

③船員法1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者が乗り込む船舶 ←健康保険は適用除外

〇厚生年金保険の被保険者となる者

①常用労働者として適用事業所に使用される70歳未満の者(健康保険の75歳とは違うことに注意)
 ※パートタイム労働者であっても所定労働日数 及び 所定労働時間数が、一般の労働者の
  おおむね4分の3以上の者は、常用労働者(すなわち厚生年金保険の被保険者)となります。

②法人の代表者、常勤役員で70歳未満の者(健康保険の75歳とは違うことに注意)

〇厚生年金保険の被保険者とならない者

(厚生年金保険の適用除外 厚生年金保険法第12条)

①臨時に使用される者であって、次に掲げるもの
(1) 日々雇い入れられる者(1ヶ月を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)
(2) 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
 (2ヶ月以内の所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)
     
※令和4年10月以降は、当初の雇用期間が2ヶ月以内であっても、
 以下の、ア又はイのいずれかに該当する場合は、雇用期間の当初から被保険者となります。
 イ 就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、
  または 「更新される場合がある旨」が明示されている場合
 ロ 同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、
  更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

②事業所 又は 事務所で所在地が一定しないものに使用される者

③季節的業務に使用される者(継続して4ヶ月を超えて使用されるべき場合を除く。)

④臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6ヶ月を超えて使用されるべき場合を除く。)
 
⑤事業所に使用される者であって、次の(1) 又は (2)に 該当する者
 (1) 1週間の所定労働時間が 同一の事業所に使用される
  通常の労働者の 1週間の所定労働時間の 4分の3未満である 短時間労働者
 (2) その1ヶ月間の所定労働日数が 同一の事業所に使用される
  通常の労働者の 1ヶ月間の所定労働日数の 4分の3未満である 短時間労働者

※ 更に、従業員(被保険者数)101人以上の事業所に使用される者にあっては、
(1)又は(2)に該当し、かつ、次の イ~ニまでの いずれかの要件に該当するもの
(従業員数101人については R6.10月からは 51人に 適用拡大予定)
イ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬(月額)について、厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、
  8万8千円未満であること。(年間106万円未満)
ニ 学校教育法に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。

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