肩こりや腰痛の原因は大きく分けると以下の5つに分類されます。
- ①(主に体幹部の)筋力不足や筋疲労によるもの
- ②腰を捻った、打ったなど外傷性によるもの
- ③内科的疾患による反射痛、整形外科的疾患による疼痛によるもの
- ④骨盤や肩甲骨周辺などの関節運動異常によるもの
- ⑤心因性(脳の誤認識)によるもの
原因別に適切に対処しないと肩こりや腰痛を悪化させてしまうことになりかねません、
まずは、簡単ではありますが以下にそれぞれの対処法を挙げてみます。
同じ姿勢でい続けることは不自然!
①の「筋力不足や筋疲労による肩こりや腰痛」の対処法です。
以下の参考ページに挙げられている理由により、姿勢の改善、寝たきり予防、
肩こり腰痛予防に重要な筋肉として大腰筋という筋肉が注目され、
トレーニング方法や重要性について書かれた書籍も多数出版されています。
この大腰筋の柔軟性と筋持久力を向上させるのに効果的な体操として
以下の4つの「腕振り体操」が挙げられます。
- 股関節の屈曲伸展によって大腰筋に刺激を加える⇒「腕と腰の前後振り体操」
- 股関節の内転外転によって大腰筋に刺激を加える⇒「腕と腰の左右振り体操」
- 股関節の内旋外旋によって大腰筋に刺激を加える⇒「左右のスワイショウ」
「でんでん太鼓体操」
この4つの単純な体操を習慣的に実践していただれれば、
最初に挙げたの②~⑤を原因とする肩こりや腰痛でなければ
姿勢の改善とともに、その症状の改善効果も期待できます。
体操を実践しても改善が見られない場合は、②~⑤の理由を疑って下さい。
- ②腰を捻った、打ったなど外傷性によるもの
- ③内科的疾患による反射痛、整形外科的疾患による疼痛によるもの
- ④骨盤や肩甲骨周辺などの関節運動異常によるもの
- ⑤心因性(脳の誤認識)によるもの
しかし、大腰筋を鍛え、その持久力や柔軟性が向上したとしても、
長時間同じ姿勢で座っていることを強いられれば、
どうしても肩こりや腰痛は発生してしまいます。
もちろん良い姿勢と、悪い姿勢を比較し、痛みやこりが生じるまでの時間が、
早い遅いの違いはありますが・・・
デスクワークを長時間行う必要がある場合は、
20~30分ごとに「腕振り体操」や
オフィスの椅子に座って(または利用して)行う
「オフィスでできる体操」などを行い
定期的に筋肉を緩め肩こりや腰痛の発生を予防すると良いでしょう。
肩や首周辺の血行が良くなることで、脳への血行も良くなり、
その結果、労働生産性の向上も期待できます。
ストレスも肩こりや腰痛の原因!
ストレスで、過度に緊張している状態が続き、
リラックスした状態に上手に切り替わらず
交感神経優位な状態が常態化してしまうと
コリや痛みが発生しやすくなってしまいます。
- 交感神経優位(緊張している状態)
- 血管が収縮する、鼓動が早くなる、呼吸が浅くなる、
- 消化器の働きが低下する、
- 筋肉が収縮する。⇒ この状態が続くとコリや痛みが発生しやすくなる。
筋肉が緊張していると、怪我をしたときの出血量を抑えることができます。
野生の時代であれば、ライオンに噛まれて出血してしまったときのダメージを
最小限にしてくれる交感神経の機能は
現代においては過度の精神的ストレスに対する、カラダの防御反応として
無意識に筋肉を緊張させ、腰痛、肩凝り、片頭痛などの原因となってしまいます。
動物は、外敵が現れると怒りや不安、恐れなどの精神的ストレスが発生し、
それに対する闘争や逃走という身体的運動によって、
ストレスを解消してきました。
その仕組みをシンプルに説明すると、
目の前に現れたライオン?に対する、怒りや不安、
恐れなどの感情は、アドレナリンやノルアドレナリンなどの
ホルモン分泌を促します。
さらに肝臓でグリコーゲンを生成し、血中に糖を送り込むことで、
いつでも筋肉が使える状態へと準備を整え、
ライオンと戦ったり(闘争)から全速力で走って逃げたり(逃走)します。
そして、ライオンから逃げきって(筋中グリコーゲンを消費して)
ほっと一安心、リラックスして、
疲れた体を休めるために休息(や睡眠)をとることで
今度は、副交感神経優位な状態になります。
- 副交感神経優位(リラックスした状態)
- 血管が拡張し、脈や呼吸がゆるやかに安定する
- 消化活動が活発になり、
- 筋肉が弛緩します。⇒ この状態のとき、疲労回復が促される。
ランニングなどの全身運動によって
精神的にストレスが解消しスッキリした気分になるのは
この当たりの生理的メカニズムと関係があると言われています。
参考文献⇒「脳を鍛えるには運動しかない!」
普段から体を動かす習慣のある方、
ランニングなどのアクティブな運動に取り組みたい方は,以下のページが参考になると思います。
⇒有酸素トレーニングの方法については「マフェトン理論」
⇒書籍(『マフェトン理論』で強くなる!―革命的エアロビックトレーニング )
⇒さまざまな動きで脳と筋肉に刺激をくわえるストレッチ⇒「セラサイズ」
普段から運動を行う習慣がない場合は、
ランニングなどの運動を行うことは、膝などを痛める
怪我(スポーツ障害)などのリスクがありますので
リラックスを促すソフトな動きの
⇒「寝たままゴロゴロ体操」を就寝前に行うことをオススメします。
交感神経優位な状態から、副交感神経優位な状態への
移行を促進することで、睡眠の質の向上の効果が期待できます。
ただし、痛みが出た(負傷した)当日は、体操はしないで下さい
②腰を捻った、打ったなど外傷性によるものに対する対処法です。
寝違えやぎっくり腰、足首や膝等の捻挫、打撲など突発的な怪我をして間もないときは、
体操やストレッチはしないで、患部(痛い部位)を氷嚢などで冷やすアイシングを行い、
安静を心がけましょう。氷嚢が無い場合ビニール袋に氷水を入れたもので代用できます。
氷嚢で2時間に1回、20分くらい集中的に冷やすのが効果的です。
ぎっくり腰の場合、うつぶせで患部にタオルを当てその上に氷嚢を乗せると良いでしょう。
アイシング後は、整形外科や接骨院などで診察して頂くことをおすすめします。
休日で診察を受けることが出来ない場合、消炎鎮痛剤の入っている冷湿布があれば
患部に貼って安静にしているのも良いでしょう。
お風呂に入って暖めることも炎症が広がってしまい、痛みが増してしまうので負傷した当日は,できれば入浴は避けシャワーだけにしておきましょう。
肩こりや腰痛は、内科的・整形外科的疾患によることも…。
③内科的疾患による反射痛、整形外科的疾患による疼痛の対処法です。
慢性的な、肩こりや腰痛をお持ちの方は、
体操をする前に、医師や柔道整復師などに相談することをお奨めします。
また体操をしていて、肩や腰が痛くなってきたときは、
無理して続けることは避けてください。
肩こりや、腰痛は筋肉の疲労などが原因であることが多いですが、
内科的疾患(内臓の病気)や整形外科的疾患(骨や筋肉の病気)によることもありますので、
体操をしていても一向に良くならない場合は、すみやかに医師の診察を受けましょう。
コリや痛みは内科的疾患のサインの場合も!
筋肉や関節、内臓に異常があると様々な症状が体表に現れて、
痛みなどとともにサインを送っています。
痛みや凝りが体操やストレッチ等でなかなか改善しない場合は、
内科的なトラブルのサインであるケースも有ります。
以下の様な痛みやコリに心当たりのある方は、内科検診をお勧めします。
首の痛みやコリ
・眼精疲労
肩の痛みやコリ
・心臓(左肩から左腕又は胸にかけての痛みやコリ)
・胃(右肩が下がり左肩のコリ)
・肺(両肩のコリや痛み)
背中の痛みやコリ
・胃(肩甲骨の間のコリ)
・肝臓(右肩甲骨下部付近の痛み、凝り、盛り上がり)
・膵臓(左背部から腰にかけての痛み)
腰の痛みや違和感
・腎臓(腰全体の痛みやコリ、)
・腸(左腰、脚の外側の違和感)
・胆のう(腰上部右側の痛みやコリ)
・腹部動脈瘤、腹部動脈解離(激しい腹痛や腰痛)
肩こりや腰痛の原因は関節の異常によることも
④骨盤や肩甲骨周辺などの関節運動異常によるものに対する対処法です。
急に重いものを持ち上げたり、急に激しい運動をしてギックリ腰になった場合や、
不自然な姿勢(草むしりや不安定な場所)での作業は、仙腸関節という関節のずれや、
ひっかかり(亜脱臼のような状態)を引き起こしてしまうことがあります。
それによって引き起こされる仙腸関節の可動域(動くことができる幅)の減少が、
背骨の土台となる骨盤の歪みを生み、肩こりや腰痛の原因となることがあります。
骨盤の歪みは、大きく分けると以下の2つに分けられます。
- ①骨盤周辺の筋肉が左右アンバランスな状態で硬くなって場合
- ②仙腸関節のずれや動きの悪さによって引き起こされている場合
①の骨盤周辺の筋肉が左右アンバランスな状態で硬くなって引き起こされている歪みは、
このページで紹介させて頂いている体操(腕振り体操、寝たままゴロゴロ体操)を
コツコツ行っていただければ少しずつ改善していきますが、
②の仙腸関節のずれや動きの悪さによって引き起こされている場合には、
その亜脱臼のような状態を治す専門的な治療を受けないと、
何かの拍子によって、そのひっかかりが外れたりしない限り、骨盤の歪みは改善されません。
仙腸関節に異常を抱えた状態で、筋肉を温めたり、軽い運動て痛みをごまかすことは、
かえって、肩こりや腰痛を慢性化させてしまうことがありますので、
過去にぎっくり腰の経験が有り、その後、慢性的な腰痛や、肩こりを患っている場合は、
骨盤の仙腸関節の動きをよくする手技(AKAなど)を、整形外科や治療院などで
受けてみることをお勧めします。
仙腸関節、は文字通り身体の要である「腰」の中心部であるため、
腰だけでなく肩こりや膝の痛みも、
その仙腸関節の機能異常が遠因となっているケースも多く、
椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などと診断された方でも、
AKA(関節の動きを改善する手技)などの治療法で仙腸関節の動きを改善し、
さらに、三軸修正法や丁寧なマッサージなどで体のバランスを整え、
筋肉の余計な緊張をとることで痛みが改善することが期待できます。
AKAや三軸修正法などの施術を受けられる整形外科や整骨院については
以下のリンクをご参照ください。
望クリニック⇒http://www.nozomi-clinic-japan.com/
植松整骨院 ⇒http://www.uematsu-seikotsuin.com/
慢性的な痛みや違和感は脳に原因があることも
⑤心因性(脳の誤認識)によるものに対する対処法です。
慢性疼痛対策のために作られたアニメーションビデオです。
慢性的な頭痛や腰痛に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
痛みの仕組みについて詳しく知りたい方は、以下のページが参考になると思います。
加茂整形外科医院のホームページ ⇒ http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/
生理学教室 ⇒ http://homepage2.nifty.com/uoh/kiso/z_pain.htm
具体的な対処法については、
⇒TMS(緊張性筋炎症候群)理論のページ
⇒書籍(サーノ博士のヒーリング・バックペイン―腰痛・肩こりの原因と治療)
が参考になると思います。
コメント
こんにちは、これはコメントです。
コメントの承認、編集、削除を始めるにはダッシュボードの「コメント画面」にアクセスしてください。
コメントのアバターは「Gravatar」から取得されます。