無形資産の活用・構築
建設業許可申請では、
経営業務の管理責任者や専任技術者などの
人的要件や
建設業を営む営業所を
静岡県内に有しているかなどの
モノに関する要件、
500万円以上の資金調達能力などの
財務要件などの経営資源を備えており、
建設業許可業者に相応しいことを、
建設業法によって定められている
一定の様式に従い
建設業許可申請書というカタチに
「見える化」し、
静岡県知事に開示することで、
建設業許可を付与するか否かの判断を
仰ぐことになります。
しかし、企業には、
建設業許可要件に該当する以外にも、
人材、技術、組織力、
元請や下請業者とのネットワーク、
経営理念や経営者の思いから生ずる、
材料や工法などに対するこだわり、
工夫、蓄積されたノウハウなど、
そこで働く人々の知的活動によって
創出された無形の経営資源があります。
このような、
企業の収益力や価値を生みだず源泉となる、
有形資産以外の経営資源のことを
「知的資産」と呼び、
この知的資産を活用した経営のことを
「知的資産経営」といいます。
この「知的資産経営」の取組みは、
知識やアイデア、技術、
それらを生みだす人を育成する仕組作りに
活路をみいだそうとした
(米国などの)巨大国の企業と比べ、
大きな資本や資源を持たない
北欧の国々の企業から始まりました。
日本でも、
2005年に経済産業省が
「知的資産経営」に関する研究会を立ち上げ
経済産業省所管の
独立行政法人中小企業基盤整備機構に
よって、
中小企業の成長・発展の原動力である
「知的資産」を明確に認識し、
意図的に活用していく
「知的資産経営」の実践・開示についての
周智が図られてています。
知的資産は、
以下の、3つに分類されています。
- ①人的資産(従業員が退職したら会社から無くなってしまう資産)
個人の知識、技術、ノウハウ、経験、学習能力、対応力など - ②構造資産(従業員が退職しても会社から無くならない資産)
経営理念、企業文化、データベース、ブランド、特許権、マニュアルなど - ③関係資産(企業の対外関係に付随した資産)
顧客、元請、下請、仕入先との関係、金融機関、
税理士や社労士、行政書士などの専門家との関係など
中小企業の場合、
人的資産8割、
構造資産1割、
関係資産1割と言われ、
零細企業になるに従って
人的資産の知的資産に占める割合が
大きくなっていく傾向があります。
さらに、企業にとって
重要な人的資産の内訳の大半は、
社長自身の人的資産や、
一部の職人さんの技術などの
人的資産であるため
社長に万が一のことがあったり、
ベテランの職人さんが辞めたとたんに、
一気に経営が傾いたり、
建設業許可の維持が
難しくなることが少なくありません。
そのような事態に陥らないためにも、
建設業許可申請を行う場合は、
自社が建設業許可の要件を
備えているかだけでなく、
建設業の経営において
重要となっている
知的資産の棚卸を同時に行い、
ベテランの職人さんの知識や技術を
マニュアル化によって共有したり、
人材育成システムを構築し
若手職員へ引継ぐことができる仕組化、
知的資産の3つの分類でいうと
①の人的資産を
②の構造資産化する対策を講じ、
会社の強みの維持、強化を
図ることをおすすめします。
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